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採択情報・選考総評

平成28年度笹川科学研究助成総評

笹川科学研究助成事業委員会委員長

 研究分野や立場的に恵まれない若手研究者の支援を目指して始まった笹川科学研究助成事業は、今回で29回目を迎えました。平成28年度は、全国から1,542件、研究費の申請金額で13億5,466万円に上る多くの意欲的な研究申請がありました。厳正な審査を経て採択された申請は324件で、採択率は21%、つまり約5件に1件程度の採択で、かなりの激戦です。

 これまでの助成件数は8,647件にのぼります。複数回の助成を受けられた方もいますが、その数は限られているので、8,000人以上の方々が助成を受け、その多くが専門家として国内外で活躍しています。笹川科学研究助成を始めた当時、大学院生は研究費の申請が不可能でしたが、今では文部科学省の科学研究費に大学院生の申請枠ができ、また、一部の民間の大学院生への研究費の助成事業も始まりました。本事業がこうした社会の動きのきっかけになっているとすれば、大変嬉しい限りです。

 平成28年度の学術研究部門の採択者の63.0%が大学院生で、残りは35歳以下の非常勤または任期付き雇用研究者です。女性の割合は、一般科学研究で30.4%、海洋・船舶科学研究で41.2%。留学生および外国籍研究者の割合は、一般科学研究で10.7%、海洋・船舶科学研究で15.7%でした。こうした傾向は、このところ大きな変化はありません。

 学生・契約研究者など、現行制度では研究助成の受けがたい身分の人たちの掘り起こしはかなり浸透してきましたが、採択課題を見ると萌芽性・新規性・独創性のある研究が未だ十分に発掘できていない感があります。ただ、昨今、指摘されるようになった「日本全体としての活力低下」があるとすれば、萌芽性・新規性・独創性のある研究自体の減少が懸念されます。加えて、一般科学研究の申請の38.0%が生物系で、複合系や海洋・船舶科学研究の申請にも生物課題がかなりの数で含まれていますので、全体の研究申請に占める生物系の研究の割合は極めて高くなっています。本研究助成事業だけでなく、国内の他の研究助成事業でも傾向は同じと聞きます。物理・化学・地学・数学などの基礎科学の弱体化が起こっていないか気がかりです。

 実践研究部門では、平成26年度から博物館・学校・NPO などに所属する人たちが行う複数年にわたる調査・研究を支援する実践研究と、学芸員・司書などが単年度で行う資料の調査・研究の支援と、窓口を2つ設けて申請を受けつけています。当初は実践研究の趣旨が十分に理解されていませんでしたが、理解の浸透してきたことが伺えます。実践研究の申請件数は93件、採択が22件で採択率は24.2%です。一方、学芸員・司書などの申請は27件で、7件が採択されました(採択率、25.9%)。

 研究助成を受けられた方には、10月に研究中間報告、翌年2月に研究最終報告を提出していただき、それらをもとにして各選考委員会で研究評価を行ないます。平成19年度から、優秀な成果を上げた研究には研究奨励賞が授与されています。7系(ただし生物系はマクロとミクロ分野でそれぞれ2人ずつ)から16名が選ばれ、平成28年4月22日(金)の平成28年度研究奨励の会で発表会が行なわれ、賞状と副賞が授与されます。また、日本で活躍中の笹川科学研究助成者には、平成13年度から海外での研究発表の旅費や参加費用を支援していて、その数は年間58〜77件です。

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