決勝戦でのプレゼンや質疑応答の様子(2023)
言語学分野
文学分野
文化分野
開催目的
中国の全ての日本語学科設置大学(500校余り)の日本語専攻学生を対象に、中国日語教学研究会である中国の全国学術団体、吉林大学である国家重点大学との共催で「日本研究論文コンクール」を開催し、日本研究を通じて日本語による論文執筆の機会を提供することにより、日本学に関する問題意識の喚起、研究実践や論文執筆に関する能力・ノウハウの習得、研究成果発表に係るプレゼン能力の習得、さらに担当教員の指導能力とモチベーションの向上を図り、日中関係のキーパーソンとなる人材の育成と中国の日本語教育の発展に寄与する。
更に中国の若者の視点で執筆された論文を通して、広範な日本人が多様な視点をもち、日中双方にとって有益な関係の構築に寄与する。
「笹川杯日本研究論文コンクール2023」
実施概要
名 称: | 「笹川杯日本研究論文コンクール2023」 |
主 催: | 中国日語教学研究会 吉林大学 日本科学協会 |
- 論文執筆
中国の各大学で日本語を専攻する学生が、担当教員の適切な指導の下に、日本語言語学、文学、文化など日本に関する広範な分野の中からそれぞれの関心に応じて研究テーマを設定し、文献検索、データ収集・分析などを経て独自の視点で理論を展開させ導いた結論を論文に取りまとめる。 - 論文審査(一次審査)
審査委員会が全国から応募のあった全ての推薦論文を対象に論文審査を行い、30本の優秀論文を選定する。 - 研究発表(決勝戦)
一次審査通過論文(30本)の執筆者(グループ)及び指導教員が一堂に会し、各研究成果についてそれぞれプレゼンテーションを行うとともに、各分野の専門家からなる審査員会による質疑応答を行い、入賞論文を選定する。 - 日本招聘の実施
決勝戦の成績上位3組(最大4名)を日本に招聘し、日本の有識者や学生等の前でのプレゼンテーションのほか、日本の若者との意見交換、文化体験、訪問見学など日本理解と友好交流を深める広範なプログラムを実施する。
募集要項
中国全国の日本語学科設置大学(500校余り)に、中国日語教学研究会を通じて募集案内を送付するとともに、コンクール専用サイトを通じて広範に論文募集を告知する。
募集対象: | 中国の大学の日本語専攻学生(1年生〜3年生) 応募単位は、個人或いはグループ(3名以内)とする。 |
テーマ: | 以下の3分野の中から自分の関心に応じて自由にテーマを設定 (1)言語学 日本語学、中日比較言語学 (2)文学 日本文学、中日比較文学 (3)文化 日本文化、中日比較文化 ※文化については、社会、歴史、民俗、思想などの文化一般を基本とする。 大学の日本語教育カリキュラムにおいては、日本語学、日本文学、日本文化の3科目は必須とされ、上位年次では、その中から一つを専攻として選ばせる大学も多い。ビジネス日本語や経済貿易日本語などを「専攻」とする大学もあるが、「経済」や「日本経済」などの専攻とは違うため、これらに関する論文については、「文化」の分野に分類する。 |
使用言語: | 日本語 |
字数制限: | 8000~12,000字程度 |
募集期間: | 2023年7月20日~2023年9月30日 |
応募方法: | 中国の各大学において推薦論文を選定し、各大学の日本語学科を通じて「コンクール運営委員会」事務局(吉林大学に設置)に論文を応募する。 |
審査・表彰
- 論文審査(一次審査)
審査委員会が全国の大学から応募のあった全ての推薦論文を対象に、審査を行い、30本の優秀論文を選定する。 - 研究発表(決勝戦)
一次審査を通過した30組が一堂に会し、各論文にする中、研究テーマに関するプレゼンテーションと質疑応答を行い、入賞論文を選定する。
審査員
一次審査の審査員は全国大学の日本学部教授からなり、約25名で構成される。決勝戦の審査員は、中国日語教学研究、日中両国の日本学研究専門家チーム(同時に、学会の会長、副会長、常務理事等を兼任するもの)より選出する。
受賞
(1)特等賞:上位3組(最大限9名) | (1点×3分野=3点/9名) 賞状及び日本招聘8日間(日本招聘は3組、最大4名) |
(2)一等賞:3組(最大限9名) | (1点×3分野=3点/9名) 賞状及び賞品 |
(3)二等賞:9組(最大限27名) | (3点×3分野=9点/27名) 賞状及び賞品 |
(4)三等賞:15組(最大限45名) | (5点×3分野=15点/45名) 賞状及び賞品 |
(5)優秀賞:論文投稿数の約30% | (最終審査に入らないが、比較的優秀なもの) 賞状 |
(6)優秀指導賞 | 特等賞、一等賞、二等賞、三等賞、優秀賞を獲得した学生の指導教師に授与 |
笹川杯日本研究論文コンクール2023 特等賞 受賞者
特等賞: (言語) |
谭小妍(吉林大学) | 「えぐい」の意味拡張と語用論的特徴に関する一考察 |
特等賞: (文化) |
王璐兒(上海交通大学) | 児童文集の中国語訳から見る冷戦期の文化越境 -『基地の子』と『基地児童』のあいだ- |
笹川杯日本研究論文コンクール2022 特等賞 受賞者
特等賞: (言語) |
李鋭(吉林大学) | 日源新詞の接辞「~控」と原語の意味比較とその変遷 |
特等賞: (文化) |
白易之、覃詩斯、梁一雷 (北京外国語大学) |
中日における「花火」についての文化イメージの一考察 |
特等賞: (文学) |
胡凌鋒(上海交通大学) | 『源氏物語』における「くれなゐふかき」考―和歌の視点からみる若菜下帖秋住吉参詣 |
笹川杯日本研究論文コンクール2021 特等賞 受賞者
特等賞: (言語) |
覃蘭卉(東北師範大学) | コーパスに基づく「普通~」と「一般~」との比較 |
特等賞: (文化) |
陳亚男、彭嘉(吉林大学) | 中日における九尾の狐の形象の比較研究——妲己と玉藻前を中心に |
特等賞: (文学) |
施澤政(華東師範大学) | 植民地的文化言語空間における翻訳営為――古丁『こころ』中国語翻訳考察 |
笹川杯日本研究論文コンクール2020 特等賞 受賞者
特等賞:(言語) | 黄俊晶(上天津外国語大学) | 中国人日本語学習者と母語話者の意見文における思考動詞の使用比較ー「と思う」系と「と考える」系を中心に |
特等賞:(文化) | 于淼(北京外国語大学) | 中日における「オタク」認識についての一考察 |
笹川杯日本研究論文コンクール2019 特等賞 受賞者
特等賞: (言語) |
王竣磊(上海外国語大学) | 音韻論的角度から見たオトトイとオトツイの交替 |
特等賞: (文化) |
呉沁霖(同済大学) |
「中国と日本における伝統文様の使用」―魚紋を例として― |
笹川杯日本研究論文コンクール2018 特等賞 受賞者
特等賞: (言語) |
胡楠(北京外国語大学) | 日本語教育における性別語のあり方についての一考察 |
特等賞: (文化) |
王紫玉(大連民族大学) | 中日両国の大学生の就職観についての比較研究 |
特等賞: (文学) |
左華芸(北京師範大学) | 『赤い鳥』における中国像についての研究─挿絵を視点として |