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公益財団法人 日本科学協会

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採択情報・選考総評

2026年度 重点テーマ:「海に関係する研究」総評

海洋関連研究責任者

1.全体的な総評

  • 今年度も多くの非常に面白い申請が多く、選考は簡単ではありませんでした。多くの申請書はわかりやすく書かれていましたが、一段落が長く見出しがない、図がないなど、やや読みにくいものも散見されました。評価者は、多忙な中で多くの申請書を読み、場合によっては異なる専門分野です。このことをよく頭において、評価者の立場にたった申請書を記述する必要があります。適度な長さの段落で、見出しや下線あるいは太文字等を利用して強調するなど、見やすくするべきです。また、説明用の図や表を、適度な数入れることも望ましいです。
  • すでに一度本助成を受けている申請者も見られました。再度の申請が認められないわけではありませんが、多くの人に助成金を利用してもらいたいという観点から、これらの申請者の審査は厳しくなる傾向があります。二回目の助成を狙っての申請では、今回の申請内容の何が新しいのかを、前回の助成で何がどこまで行われたかがわかるようにした上で、一回目以上にしっかりと記述する必要があります。
  • 海という環境、生き物、人との関わりに至るまでの実に多様な分野から申請がありました。その中身はいわゆる理系の純粋科学から文化人類学のような文系の分野からも申請があり、海洋の分野の幅広さと、日本という国が海洋立国であることを再認識しました。研究課題はいずれも興味深い内容で、よく書かれているものが多くて、選考では本当に悩みました。残念ながら選考に漏れた方も、決して自身を責めることなく研究に邁進していただきたいと思います。
  • 海に関係する研究を選択しているにも関わらず、海にどのように関係するかがあまり書かれていない、あるいはしっかりと書かれていない申請書が見られました。
  • このような競争的研究資金において、まずは旅費を交通費と宿泊費に分けるなど、基本的な指示に従っていないものは評価を下げます。また、消耗品等についても、解析一式とまとめるのではなく、実験案に基づいた物品類を詳細に計上した申請書は研究に対する真摯さが評価されます。こうした基本的なことに加えて、適切に小見出しを設定して文章を読みやすくし、図だけでも概要が分かるような申請書が結果的に採択となりました。

2.個別の分野に関する総評

  • 今年度の生物関係の申請書では、鳥類や陸上植物を対象とする申請書が増加し、逆にプランクトン関連がやや減少したように感じました。また、外洋や沿岸はもちろん、島や干潟、河口域に関連した申請書も増加したように思います。(海洋生物分野)
  • 海との関連の弱い研究が目立ちました。「海」を選ぶことで、採択率が上がるわけではありませんので、十分な検討が必要です。(海洋生物分野)
  • 応募は学部生から大学教員まで幅広く、また研究課題も潜水観察、分類、ゲノム解析、化学分析など多岐にわたっています。いずれも海に関する研究課題ですが、それぞれに学術的な意義があり、一定の基準で評価することは容易ではありません。 (海洋生物分野)
  • 海洋環境、地学、地球化学分野の申請では、提案書が良質に仕上がっていたものがほとんどでした。研究の背景と現状、目的、手法、計画などが順番に丁寧に書かれていました。近年は採択可能なレベルの提案書が多く、採択から漏れた中にも良質な提案があり、選外となった場合でもがんばってほしいと思いました。昨年度分も含めて、テーマが偏らないようにしたため、優先順位の関係で採択できなかったものもありました。研究提案者が、調査を遂行、結果を解析、口頭・誌上発表をするには教員の指導が不可欠です。推薦書を書かれた先生には、最終的な誌上発表まで、ご指導いただければと期待する次第です。(海洋環境、地学、地球化学分野)
  • 海洋学に関わる分野では、全体的に申請書のレベルが高く、あまり高くない採択率の中で選考するのに苦労しました。内容的に実現可能性が高いものも多くありましたが、その中で、データ取得から解析まで、何をして、それからどういう結果が期待され、どういうストーリーが導かれうるか、というシナリオが具体的に記載されているものが、研究計画のイメージが伝わりやすかったと思います。また、評価者は必ずしも当該分野の専門家ではないので、専門分野内では当然の前提条件や手法なども、具体的に記述されていると、研究内容が伝わりやすいと思います。研究の背景はきちんと書かれているものが多く、社会にどう還元できるかという視点も十分なものも多い反面、具体的にその手法からどういう論理で結果を導き出そうとしているのか、わかりにくいものもありました。(海洋物理関連分野)
  • 個別には、自ら観測装置に工夫を加えた研究が興味をひきました。一方、手法的には目新しいところはなくても、ローカルながら特殊な環境をテーマに、手作り感のあるわかりやすい研究計画も別の側面から興味深く感じました。(海洋物理関連分野)
  • 担当した工学系の申請については、昔から取り上げられてきた課題に対して、今日的な新しい技術や手法を用いたアプローチでチャレンジするものが多く見られました。また、さまざまな現象が関わる複雑な問題で、解明がなかなか進まない問題に対して取り組むものも見られました。一方で、まったく新しい提案や着眼という突出したものは見られませんでした。(海洋工学分野)
  • 今回の審査では、例年よりも留学生が多いと感じました。国際性が豊かになっていることでよい傾向だと感じました。また、意外にもAIやデータサイエンス技術を使った研究が多くなく、今後の研究においてこれらの要素を加味した申請が出てくることを期待します。船舶工学に関連した申請が少なく、海洋工学や造船工学はわが国の重点課題であるので、申請数増加を期待したいと思います。(海洋工学分野)
  • 今年度の「人文・社会科学」の申請者数は比較的多いレベルで推移していることは喜ばしいことです。申請者中の男女別内訳としては、男女比は概ね2:1の割合となり、女性の申請が一定数を占めてきていることも喜ばしいところであります。ただし、女性の中では外国人割合が多く、今少し日本人女性研究者からの申請が増えていって欲しいものです。内容的には、歴史、文化、国際交流、漁業政策・制度、環境など、分野としては多岐にわたっていました。今後とも、「人文・社会科学」枠の申請件数が、男女とも、国籍数とも、多くなっていくことを大いに期待したいところです。なお、今回も、申請内容としては前年度にも増して熟度の高い案件が多く、与えられた採択枠および補欠枠を絞り込むのに非常に苦労したというのが正直なところであり、補欠に値すると考えられる候補が他にもいくつかあったことを記しておきたいと思います。この系の人文・社会科学面の研究の意義が広く認識され、今後とも増大傾向を維持できればと願ってやみません。(人文・社会科学分野)

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