芸術は、哲学で言われている「真善美」という人類の普遍的な価値の中でも「美」を追求するテーマであり、基礎科学や応用科学と深く結びついている。
基礎研究*において、ピタゴラス、ケプラー、ダーウィンなど歴史に名を残す科学者は、美しさを意識して、新しい発見をしていることは知られている。
若手研究者に、普遍的な「美」を意識することの重要性を改めて知ってもらい、自身の研究に、感性の豊かさや新しい価値観を取り入れていけるよう啓発することで、未来の「創造的研究者」の育成を目指していく。
また、現代アートの分野では、既に科学の成果を取り込んでオプティカル・アートなどのデザインに結びつけている。
科学も芸術と異分野と融合することで、新たな気づきや発見に繋げることにも注目していく。
- 基礎研究とは
- すぐに役に立たない、ずっと役に立たないかもしれないが、将来の革新的な技術や素材の開発につながる新しい知識や構想の発見を求めて行う研究。
協会は「陽の当たらない基礎的な研究分野」として手厚く助成している。
科学における芸術との結びつき
- ピタゴラス音律
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音の調和という美を数比から解明した
- ケプラーの法則
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宇宙の調和を美しい幾何学的関係から説明した
- ダーウィンの進化論
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進化論は樹木の枝分かれ図、自然界に打ち込まれる杭のイメージなど様々な美的イメージを駆使して生まれた
- 二重らせん構造 (ジェームスDワトソンら)
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単純で美しい構造は、生命現象の根幹のメカニズムを明らかにし、今日にいたるまでの生命科学の大発展の起点となっている
「科学と芸術」研究会の内容
その1 | 「身体知とイメージからみる科学と芸術」 | ||
その2 | 「自然科学と芸術-1960年と2000年の二つの〈転回〉」「日本の庭―歴史の継承としてのデザインとは」 | ||
その3 | 「マンダラ:視覚化された最高真理」「歩行について:境界例からのライヴ・アート(生の芸術)考」 | ||
その4 | 「言語脳科学と音楽の接点」「ベートーヴェンはなぜすごいのか」(資料は以下の①~③をご覧ください) | ||
①研究会の記録 | ②別冊「科学と音楽の邂逅 ベートーヴェン生誕250年を祝して」 | ③別添「酒井先生資料」 | |
その5 | 「生命を主体とする哲学―南方熊楠とユクスキュル」「粘菌・曼陀羅・潜在意識―南方熊楠のエコロジー」 | ||
その6 | 「生態学的都市論における多孔性」「都市・まち・建築の熱環境の可視化と、建築学とその周辺の現状」 |