台風近くに多くの生物
立方体地球の海の表面積は約920万km2です。台風の影響を受け、表層の水が上下で比較的よく混じりあっている湧昇域を、1%(9万km2、300km×300kmの範囲)と考えることにします。湧昇域では、植物プランクトンが生きるために必要な窒素・リン・ケイ素や微量元素などの栄養塩類が中層から表層へと運ばれていて豊富な栄養分があります。 また、沿岸域の面積を2%程度と考えました。そこでは陸地から栄養塩類が流れ込むので、湧昇域に次ぐ生産性があるとします。「生産」とは、植物が光合成によって炭水化物をつくりだすことをいいます。
海のほとんどは生物がいない
その他は外洋域で、そこで海水は層状になっていて、上下の海水は混じり合いません。そのため栄養塩類は太陽の光が届く表層には運ばれず、プランクトンは少ないと考えました。このような状態を「貧栄養」であるといいます。
海の食物連鎖
地球の海の生態系は、生産者(植物)と分解者(微生物)に加えて、さまざまな動物(消費者)の3つのグループで成り立っていて、動物が活発に餌を食べる生食食物連鎖がつくられています。立方体地球でも同じように考えられますが、立方体地球では海の生態系の頂点はヒトです。
立方体地球の3つの海域での年間の生産を表1に示しました。単位面積当たりの植物の生産量を、湧昇:沿岸:外洋で示すと、6:2:1の割合になります。魚類の年間生産量は、栄養段階の数と生態効率が影響して、湧昇域で6,480万トン、沿岸域で340万トン、外洋域で8.9万トンとなり、728:38:1と大きく広がります。
また、立方体地球の海は深く、しかも海水は層状になっていて表層と深層の海水は混じりあいませんので、深層は黒海と同じように表層から降ってくる生物の死骸などの有機物を微生物が分解することで酸素が消費されていて、無酸素になっていると考えられます。
湧昇城 | 沿岸城 | 外洋城 | |
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面積(万km2) | 9 | 18 | 893 |
植物の生産(mgC/m2/年) | 300,000 | 100,000 | 50,000 |
栄養段階の数 | 1.5 | 3 | 5 |
生態効率 | 20 | 15 | 10 |
魚類の生産(mgC/m2/年) | 36,000 | 340 | 0.5 |
魚類の生産(103生重トン/年) | 64,800 | 3,400 | 89 |
表1 : 立方体地球の海の生産性(Ryther 1969をもとにして推定)