台風は養分を運ぶ
海の中では植物プランクトンが繁殖し、それを食べる動物プランクトンが集まり、そして、それを食べる小魚が群れ、それを狙って大型生物がやってきます。植物プランクトンは光のあるところでないと成長できませんから、それを食べる生物は、海の表層近くでないと生きていけません。それらの生物が死ぬと、死骸は海の深いところに沈み、そして分解されます。このように生物は、表層で生物のからだを作るのに必要な元素(養分)を吸収し、やがて深海へ落としてしまいます。そのため、深海の水を表層に戻すしくみがないと、生物は海の中で生きていけません。そのような深海の水がわきあがってくるところを「湧昇域」といい、生物生産性の高いよい漁場になります。
立方体の地球では、いつも同じ位置にある台風が、深海の水を表層に汲み上げる役割をしています。そして、そこでは養分をたっぷり含んだ海水が、とてもよい漁場をつくるのです。