宇宙飛行士が立方体地球に着陸した地面は、かなり急傾斜です。立方体は平らな地面のはずなのに、なぜ、斜面になっているのでしょうか。
丸い地球で、ものが真下に落ちるわけ
実際の地球上にある平らな地面の上でものを落とすと、下向きに落下します。それは、重力が、地球の中心に向いているからです。地球は球体なので、地表面のどこにいても、水平面であれば、ものは下向きに落下します。地球上のすべてのものは、地球の中心に引っ張られているわけです。
地球の上にいる人にとって、地球は非常に大きいので、地面は水平であるように感じます。この水平面の真下に引っ張られている、というように感じます。図1(A) は、その様子を表しています。実際は、地球は球なので、地球上のどこにいる人であっても、真下に引っ張られているように感じるわけです。
私たちが地面に立つとき、水平面と垂直に立てば、安定して立つことができます。
「下向き」って何だろう…?
地球が立方体だとしたら、ものは下向きに落下するでしょうか。図1(B) は、その様子を描いています。もし、このようであれば、宇宙飛行士は、立方体地球のどこに着陸しても、平らな地面に着陸したように感じるはずです。
では、「下向き」とは、どういう方向をいうのか、改めて考えてみましょう。私たちがいう「下向き」とは、「重力に引かれる向き」のことです。その逆方向が、「上向き」になるわけです。
そう考えると、図1(B) は、立方体地球で私たちが感じる「下向き」を示していないことになります。なぜなら、立方体地球では、すべての位置で平面と垂直な方向に重力がはたらくとは限らないからです。
立方体地球であっても、ものは、立方体の中心に引きつけられます。その結果、図1(C) に示すように、正方形の面の中心以外は、ものを落とすと、地面とは斜めに落下します。人間も地面に対して斜めの方向を、下向きと感じます。つまり、斜めに立つと安定しているのです。辺や頂点の近くでは、まるで山の斜面にいるような間隔をうけるでしょう。
人間は、重力の方向を下向きと判断します。その反対が上向きです。上向きを縦軸にして、立方体地球の地表面を描くと、図2 のようになります。各正方形は盆地のような感じです。
【重力】
すべての物体は、ほかの物体を引きつける性質があり、その力を引力といいます。
2つの物体にはたらく引力は、それらの物体の間の距離と、質量に関係します。距離が離れれば離れるほど引力は弱くなり、質量が大きくなればなるほど引力は大きくなります。たとえば机の上の本や鉛筆、パソコンは互いに引きあっていますが、その力はあまりに小さいので、私たちが感じることはありません。
地球上では、地球からの引力による力だけでなく、地球が自転しているための遠心力がはたらきます。引力と遠心力の合力を、重力といいます。