実践系選考委員会委員長
2026年度より、本助成の実践研究部門は「教員・NPO職員等が行う問題解決型研究」を廃止し、学芸員・司書等の専門職に対象を絞った新たな枠組みとして再スタートしました。社会教育機関や生涯学習機関等に勤務する専門職への周知・PRの成果もあり、応募件数は一昨年度の14件、昨年度の18件から大幅に増加し、40件の応募を得たことは大変心強い動向です。
1.応募動向と研究環境の現状
応募者の約半数を公立博物館所属の学芸員が占めましたが、近年の傾向として、調査研究費の不足や組織的支援の弱体化など、公立館が財政難に直面している状況が申請内容からも読み取れました。また、科学館・天文台・動物園からの応募が5件あり、今年度も自然史分野からの申請が多くありました。3Dプリンタを活用したレプリカ製作、AIを用いた資料整理・普及活動など、新技術を積極的に取り入れた実践的取り組みが目についた点は評価できます。一方で、図書館や生涯学習施設からの応募は各1件にとどまり、今後は博物館以外の社会教育・生涯学習機関からの応募増加に向けた、さらなる周知が求められます。
2.研究計画と予算計画に関する課題
今年度は、過去に助成を受けた申請者が再度挑戦する例も見られ、継続的な研究の深化という点で歓迎すべき傾向でした。しかし、以下のような課題も散見されました。
・機器購入や国際学会参加を主目的とした申請が複数見られ、研究計画との整合性が不十分なケ
ースがありました。
・博物館資料のデジタル化を目的とした申請が複数あったが、研究というより作業的な内容にと
どまるものも見受けられました。
・研究計画書が日本語として成立していない、あるいは記述が不明瞭な申請もあり、申請者の所
属組織による事前精査の必要性を改めて感じました。
助成金は研究のための資源であり、学会参加費や投稿料などに申請額の大部分を充てることは、本助成の趣旨と必ずしも一致しません。研究課題の明確化と、研究内容に即した予算計画の策定を強く求めます。


