雲のはたらき
立方体地球の大気圏では、雲が発生するでしょうか。図1 は、大気中に含まれる水蒸気量を飽和水蒸気量と比較したものです。上空にいくほど気圧が低くなるので、大気中に含まれる水蒸気量は減少します。一方、上空にいくほど気温が低くなるので、飽和蒸気圧も減少します。その結果、高度215km で、水蒸気が飽和します。すなわち、この高度が雲底です。この高度の気温は約300 Kです。立方体地球の大気では、雲がドーム状に覆います。正方形の中心から1100 kmほど離れた地点で、雲底は地上になり、それより外側は、霧に覆われることになります。図2 は、雲底付近の気温の高度分布を示しています。
【雲量】
空の面積に対して、雲の占めている面積の割合のことをいいます。まったく雲のないときは雲量0、空が雲で完全に覆われているときは雲量10とします。日本での雲量については、0〜10、それに「不明」を加えた12段階で示すことになっています。雲量不明とは、霧などが発生していて、空の状態が確認できない場合です。
天気は、雲量0で快晴、1〜8で晴れ、9と10が曇りとなります。
【潜熱】
ビーカーに水と氷を入れ、ビーカー内の水の温度を0 ℃とします。ここで、ビーカーを熱していきます。ビーカー内の水の温度を計っている温度計は、しばらくの間は0℃を示したままです。熱しているのですから、熱エネルギーを与えています。熱エネルギーを与えているのですから、温度は上昇するはずです。与えた熱エネルギーは、どこへ行ってしまったのでしょうか。
このときに加えた熱エネルギーは、氷を融かすために使われたのです。つまり、固体の物質を液体の状態にかえるためには、熱エネルギーが必要であるということです。これを融解熱といいます。同じように、液体の物質を気体の状態にかえるときにも、熱エネルギーが必要で、この熱エネルギーを気化熱といいます。融解熱と気化熱のことを、潜熱といいます。
【飽和水蒸気量】
空気には、乾燥した空気と湿った空気があることは、皆さんの日常生活からも理解できるとおりです。冬には空気が乾燥し、梅雨時には空気が湿っています。これは空気中に含まれる水蒸気の量が少ないか多いかで決まります。
では、空気はどれだけ水蒸気を含むことができるでしょうか。空気は、温度によって最大に含むことができる水蒸気量が決まっています。その量のことを飽和水蒸気量といいます。下のグラフは、それぞれの温度での1m3あたりの飽和水蒸気量(g)を示しています。
気温20℃のときに飽和状態(これ以上、水蒸気を含むことができない)となっている空気1m3には、17.2 g の水蒸気が含まれています。では、この空気の温度が低下していくと、何が起こるでしょうか。気温が10℃になったとしましょう。このとき、1m3の空気には、9.3 g の水蒸気しか含むことができません。では、7.9 gの水蒸気はどこへ行ってしまったのでしょうか。この水蒸気は、気体の状態から液体の水になって、容器の壁などに付着します。冬の暖かい室内で、窓に水滴がついているのは、窓に近づくにつれて空気の温度が下がり、これ以上含むことができない水蒸気が水となって目に見えるようになったものです。